固定化は防がなければならない。

ーー以下全部引用ーー

6〜7人に1人が「貧困」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/children/weekly/20091102-OYT8T00836.htm?from=nwlb

相対的貧困率」初の発表
国民の中で、所得(しょとく)の低(ひく)い人がどのくらいの割合(わりあい)でいるかを示(しめ)す「相対的貧困率(そうたいてきひんこんりつ)」が20日、初(はじ)めて厚生労働省(こうせいろうどうしょう)によって発表(はっぴょう)されました。2007年の調査(ちょうさ)では15・7%。国民の6〜7人に1人が貧困層(ひんこんそう)に入る結果で、この割合はほかの先進国(せんしんこく)に比(くら)べて大きいことが分(わ)かりました。

 日本では近年(きんねん)、世帯(せたい)ごとの所得の差が大きくなって、貧(まず)しい家庭(かてい)が増(ふ)えているのではないかと指摘(してき)されています。しかし、政府はこれまで、実態(じったい)をしっかり調べていませんでした。

 9月に就任(しゅうにん)した長妻(ながつま)厚労相(こうろうしょう)は、貧困問題(もんだい)への対策(たいさく)を進めるためには、まず「貧困」の実態を数字で知る必要(ひつよう)があると判断(はんだん)し、今回、「相対的貧困率」を政府で調査することを決めたのです。

 相対的貧困率は、先進国を中心につくる国際機関(こくさいきかん)「経済協力開発機構(けいざいきょうりょくかいはつきこう)(OECD)」が定(さだ)めた貧困の目安(めやす)の一つです。

 調査では、国民一人一人の所得(収入(しゅうにゅう))を順番(じゅんばん)に並(なら)べた場合、真(ま)ん中にくる人の金額(きんがく)(中央値(ちゅうおうち))を求めます。そして、所得が中央値の半分に達(たっ)しない人々を「相対的貧困層」とみなします。そうした貧困層が国民の中でどれだけの割合を占(し)めるかを示したものが、「相対的貧困率」となります。

 2007年のデータから計算された日本の相対的貧困率は15・7%で、04年(14・9%)より悪化(あっか)しました。OECDに加盟(かめい)している30か国で比(くら)べても、メキシコ(18・4%)、トルコ(17・5%)、アメリカ(17・1%)に次(つ)いで4番目に悪い数字でした。

 相対的貧困率が高くなっている理由(りゆう)には、働(はたら)くことができない人や、働いても収入が少ない「ワーキングプア」と呼(よ)ばれる人たちが増(ふ)えていることがあります。正社員(せいしゃいん)と比べて収入や待遇(たいぐう)が低い派遣(はけん)社員なども増えています。派遣社員などは不安定(ふあんてい)な立場(たちば)にあるので、景気(けいき)が悪化すると失業(しつぎょう)する恐(おそ)れが高くなります。

 親の収入が少なくなれば、子どもにも影響(えいきょう)します。

 親がリストラにあったり、病気になったりして収入が激減(げきげん)し、高校に通えなくなってしまったり、進学をあきらめたりする問題が起きています。学校に通えたとしても、教材費(きょうざいひ)が払(はら)えない、修学旅行(しゅうがくりょこう)に参加(さんか)できない、といった例(れい)もあります。小中学校では、1日分の栄養(えいよう)を給食でまかなっている子や、体の具合(ぐあい)が悪くてもがまんしている例も報告(ほうこく)されています。

 こうした状況(じょうきょう)を改善(かいぜん)するために、鳩山政権(はとやませいけん)では選挙(せんきょ)で約束(やくそく)したマニフェストに基(もと)づき、生活保護を受けている一人親(ひとりおや)家庭に追加して支払(しはら)われる「母子加算(ぼしかさん)」を復活(ふっかつ)させるほか、来年度からは公立高校の授業料(じゅぎょうりょう)の負担(ふたん)分をなくす、中学卒業まで月額(げつがく)2万6000円(最初(さいしょ)の年度は半額)の「子ども手当(てあて)」を支給(しきゅう)する、などの政策(せいさく)を行う方針(ほうしん)です。ただ、これだけではまだ不十分(ふじゅうぶん)だという指摘(してき)もあります。

 貧困(ひんこん)の実態(じったい)調査(ちょうさ)はまだ始まったばかりですが、社会全体の問題として、急いで取り組んでいく必要があります。

(2009年11月3日 読売新聞)